◇　ボウリングは、科学から感性の時代へ変化しつつある
　　　スポーツボウリングは、科学的なデーターだけに振り回されることなく、もっとボウラー自身が持つ感性をフルに活用して戦うべきである。トーナメントの各場面に於いて、『 どのボールを使うか 』の判断はボウラー自身が決定すべき事項であるが、次のゲームでどのボールを使い、どのようにレーンを攻めるかは、テクニカル・サポーターと相談するのが最近のＰＢＡツアーメンバーの一般的戦略である。
　　　米国のトップ・プロは、レーン上に見事な絵を描く、まさにアーチストではあるが、その彼らさえボウリングボールのリアクションの本質についての知識はあまリないと言わざるを得ない。トーナメントでボールをどう選択するかと云うことも大切だが、ボールを『どのように使うかと云う感性』の問題がもっと重要である。
テクニカル・サポーターとしての立場から言えば、トーナメントに勝つには、道具の使い方をもっともっと単純化し、ボール・リアクションを完全に理解し感性豊かにゲーム運びをすべきである。
複雑すぎる情報は『 戦略の混乱 』を招き実用性が薄れてくる。

◇ 従来のセミナーや広告の問題点
　　　今までのセミナーや広告では、数字や図の羅列ばかりで、各メーカーが出すチャート類もボールメーカー間での基準がまちまちであり、話としては面白いが各ボール間でのパフォーマンスを比較することが出来ず、多くのボウラーの求めているものとはかけ離れたものであった。さらに、雑誌広告などで発表される『 フックの度合い 』の絵も、レーン図の縮尺が異なる為に、実際とは全く異なる期待感をボウラーに抱かせてしまうと云う大きな問題点があった。
さらに、そのデーターを出したレーン・コンディションやテストしたボウラーも一般ボウラーの場合と同条件であるはずもなく、アマチュア購買者の期待感を大きく裏切る結果となることしばしばである。

◇ ボールの使い方を単純化しよう
　　　メーカーの発表する情報や広告は戦略の入口でしかない。ここから先のボールの使い方の単純化は我々プロショップ・スペシャリストの仕事である。トーナメント・ボウラーにとっての最大の敵は『 戦略の混乱 』である。強いボウラーは『 戦略の混乱 』を自分自身で排除するパワーを持っているが、一般的なボウラーはバニックになりどうしてよいか解らなくなってしまう。したがって、単純化と云う作業が大変重要になってくる。
　
◇　�� 田 誠 の レーンの読み　　ストライクの条件
本当のレーンのヨミとは、全体的なフックの巾よりも、ポケットヒットした後のボール、すなわちファースト・インパクトポイントにヒットしたボールが続いてセカンド・インパクトポイントをいかに正確にヒットするかがパーフェクト・ストライクの条件である。言い換えると、先ず1-2-4-7の延長上のファースト・インパクトポイントにボールがヒットし　０．６８インチ のくい込みの後　3-6-9の延長上のセカンド・インパクトポイントにヒットする。これがパーフェクト・ストライクの原理なのである。この０．６８インチを角度にすると約３度になる。この３度を如何に維持するかがレーンのヨミなのだ。
35年前のブランズウィック・ドリルクリニックの教本の中で次のような図を入れて『パーフェクトストライクの考察』として��田誠が記しているのがそもそものスタートである。この図はその後いろいろの所で使われているのでご記憶の方も居られることと思う。昔は入射角度が大きいほど良いとされてきた。しかしこれは違う。入射角度が大きすぎても、小さすぎても３ピン−６ピンの関係が悪くなるのである。　コーナーピンをどう倒すか　？　これこそボウリングの永遠の課題である。

◇　スポーツボウリングの最重要課題は ボール・リアクション
ボールがドライ・エリアに突入した時のボールの動き方と反応の速さは、全てのボールで異なる。この動きこそが≪レスポンス・タイム≫である。